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The taste
of victory

1978 : 王座に就いたA442

40年前の6月10日、午後4時。モータースポーツ界を代表する耐久レース”ル・マン24時間”のトラック上では、ルノー・アルピーヌの4台のマシンが安定した走り出しを見せていました。息苦しいほどの暑さのなか、閉め切られたコックピット内で代わる代わるA442のハンドルを握るディディエ・ピローニとジャン=ピエール・ジョッソー。難しいコーナーを次々にクリアし、直線では伸びのある走りを見せます。波乱に富んだレース展開にも関わらず、A442Bは周回ごとに順位を上げ、数々の記録を更新。なかでも史上最速の平均時速210kmは、人々の記憶に鮮烈な印象を残すこととなりました。

走行距離5,000km、後続のライバルに5周の差をつけ1位でゴールラインを通過したのはA442Bでした。喜びに沸くルノー・アルピーヌ。その頭上にはシャンパンが降り注がれ、彼らはシャンゼリゼ通りで行われたパレードに英雄として迎え入れられました。この1978年のル・マンでの勝利は、アルピーヌが衝撃的なデビューを果たした1973年のFIA世界ラリー選手権(マニュファクチャラーズ選手権)とともに、モーターレース界の伝説として、いまもなお語り継がれることとなったのです。

Average speed
recorded
at 210 kph

2018 : 新たな勝利を見据えるA470

2013年にレース界への復帰を果たしたアルピーヌ。2016年の第84回ル・マン24時間レースLMP2クラスには、シニャテック社と提携のもと参戦します。6月の雨が降りしきるなか、瞬く間にレースの主導権を握ったのは「36」を纏ったA460でした。ニコラ・ラピエール率いる3名のドライバーたちは、夜の闇を切り裂くような熾烈な走りをみせ、世界耐久選手権(WEC)のトロフィーを勝ち取ることに成功。アルピーヌの鮮烈なカムバックを祝うかのように、フランス国歌が響き渡りました。

そして2018年。アルピーヌA470は、2017年に発表した600hp・V8エンジンを搭載し、ラッキーナンバーの「36」を付けて、再びル・マン24時間レースに挑みます。ニコラ・ラピエールの経験、アンドレ・ネグロンの気迫、新たにチームに加わったピエール・ティリエの熱意。3人のドライバーたちは互いを支え合いながら、新たな勝利を見据えているのです。

「レースのことは常に頭にある。いつも改善できることがないか繰り返し考えているよ。真夜中に目覚めて、すぐにハンドルを握れるようなパワーと集中力を得られる効率的な睡眠方法を身につけることは大切だからね。例えば光療法や食事療法には一定の効果がある。ただ片目を開けたまま眠るようなことは、すごく難しいんだよ」 — ニコラ・ラピエール

ル・マン24時間は、365日休みなく続く戦いなんだ!

ニコラ・ラピエール - アルピーヌA470 36号車ドライバー

特別なレースを戦うために

ル・マン:アルナージュやミュルザンヌといった悪名高きコーナー、時速400km近くに達するユノディエールの5.8kmストレートなど、著名なポイントを多く有する全長13,626メートルのサーキット。

この荒々しいコースに挑む者たちには、専用の訓練プログラムが用意されています。選考会、走行テスト、コース分析、メカニック間の情報共有など、昼夜を問わず行われるこの過酷なトレーニングは、より速く、より確実な走りを実現するために必要不可欠なものなのです。

勝敗を分ける境界線

小手先の技術で勝利を得ることはできません。ル・マン24時間は、人間の総合力が試されるレースなのです。激しいプレッシャーと急激な加速に耐え、疲労や天候条件に適応しながらレースを続けるために、ドライバーたちは、日頃から栄養士や精神科医など専門家からのアドバイスをもとに、心身を鍛えることを怠りません。

勝利をもたらすのは人だ

ニコラ・ラピエール - アルピーヌA470 36号車ドライバー

JOURNALIST : Alexis Chenu

PHOTOGRAPHY : DPPI